h.Tsuchiya

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メシの噺 つまようじ1本で食べた「雪隠弁当」

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 今日の弁当は”目玉”が2品もあったので楽しみだった。一つは画面右上。油揚げと細切り筍を薄味出汁醤油で炊き、例のフキ味噌をたっぷり混ぜ込んだもの。もう一つは左下、使い忘れていたチクワを炒め、袋焼きそばで使わなかった粉末ソースで味付け、マヨネーズで和えたもの。前者は食感も香りもグッド。後者は不思議なことに「お好み焼き」風になった。ウマい!そうか練り物にソースとマヨネーズなら近い味がするはず……てなわけでいつもの「雪隠詰め所」でフタを空けてから、ハッと気づいた。箸というかフォークを忘れた!ヤバイ!……他の人が詰め所で食べている仕出し弁当用のをもらってくればいいのだが、なんだか面倒くさい……ふと思い出したのがつまようじ。最初は2本で箸代わりにしようとしたのだが、不器用なワシには無理!結局、1本で食べたよ(笑)……偉大なりつまようじ、でなく食い意地だな。欲望の前に立ちふさがるものなしだ……でも、反省。今度から予備のをいれとこう。

『春の嵐』に降りこめられて

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 ヘッセの小説じゃないが『春の嵐』のみぞれと強風で、終日「雪隠小屋」(守衛詰め所)に降りこめられた。気象学的には「猛烈低気圧」、スプリング・ストームは例年のこと、「花に嵐のたとえもあるぞ~」と漢詩(「勧酒」井伏鱒二訳)にあるくらい、昔から花の季節と嵐はワンセット……だが、体と頭が気候の急変になかなかついていけなくて、そのつど大仰にうろたえてしまうんだよね。そこで考え直してみた。この季節、地上の造物である花々が咲きほころび、人間が浮き立つのを天が嫉妬しているのが「春の嵐」ではないか、と。世界は、天と地と人が常にダイナミックに感応し合っているのであ~る、と。1日の嵐ごときにオロオロするのが「ちいせぇなぁ」と思えてくる(脱線①「嫉妬」っていうまがまがしい文字は何で「女」ヘンなんだ?)……ところで(脱線②)、「降りこめられた」と書いて想い出したのが芥川の『羅生門』。冒頭のあたりで「「雨にふりこめられた下人が、行き所がなくて、途方にくれていた」と云う方が、適当である」とある……(脱線③)これを映画化しようとした黒澤は、羅生門下で雨に降りこめられている様子を表現するのに、墨汁入りの雨を降らしたことは有名。白黒映画で雨滴を撮るための工夫で、同じ手を『七人の侍』でも使っている。黒沢はこういう細かい”発明”が好きなようだ……うむ、ワシも嵐にやられて「脱線」しっぱなしになったか。

メシの噺 「フキ味噌」を作った

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フキ味噌

 新潟県で有数の山菜のメッカは魚沼。その住人で友だちのハトリさんから「フキノトウ」をいただいた。採れたての器量よしが約20個。土を落として水洗い、片っ端からみじん切りに。アクが強いから端から茶色く変色するので手早くやらねばならない。フードプロセッサあればいいんだけど、なにせミニマルライフ?だからが包丁でがんばった。見た目はかさ張る……で、この間の「再生油」を使い、味噌と砂糖とネリ生姜少々などを加えて炒める(味噌は大さじ4、砂糖は2くらいかな)。水分がそこそこに出るから炒めすぎずに余熱で飛ばす……で、ホカホカご飯に載せていただきました。できた総量は小ぶりのタッパー1個分。この間、宅急便到着から1時間弱とまずまず……う~ん、懐かしき里山の、早春の味そして友情の香り。美味しい!弁当や色んなものの調味料としても使えるし、お湯でのばしてスープもいいかな……佐渡にいる時、『トキの里山弁当』にも山菜はたくさん使った。コゴミ、アマドコロ、ぜんまいそれにつくしも。自分は味の記憶はあっても、調理法を知らなかったから、メンバーのおばちゃんたちに教わりながらだったけど。それがまた楽しかった。自分で作ると、スーパーや道の駅などで売っているのは「まがい品」が多いことがわかる……噺が長くなるから切り上げよう。ハトリさん、ホントにどうもありがとうね。

調べたら愉し04 「夜桜お七」の「七」噺

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夜桜お七

 役人「時節柄、花見は自粛を」←江戸っ子「べらぼうめ!そんなら隠れて『夜桜』でぇ」。で強引に『夜桜お七』の噺。坂本冬美の「♪赤い鼻緒が~♪」(1994)だね……江戸情緒たっぷり、女(八百屋お七)の情念を感じるなぁ、とお思いきや2番で「ティッシュをくわえ♪」と来てちょっとずっこける。だが、これぞ作詞したプログレ短歌の林あまりの味らしい……「八百屋お七」を知らない人には西鶴の『好色五人女』がおすすめ。それよりも「お七」の読み方に興味がある。「おひち」と読んだ人は”ブーッ”、正しくは「おしち」である……勢い込んで話す江戸っ子は「ヒ」が苦手で「シ」になりやすい。東(シガシ)」「人(シト)」「百(シャク)」「左官(シャカン)」てな具合。ところが、名古屋以西に行くと、「し」が「ひ」になることがあって「質屋」は「ひちや」が常識らしい(写真は名古屋)……で、冬美ちゃんだが、バリバリの和歌山娘。この和歌山弁がまたクセモノで「さ行・ざ行」が「た行・だ行」になるというんだからややこしい。するとですよ……和歌山人で、ちょっとシャクレの人が素のままで唄うと『夜桜お七』はどうなるんだ? 「夜ジャくら~おチち~」になるかも。あ、シャクレは冬美ちゃんのことではないよ。ワシは「シイキ(贔屓)」だからね……おまけ。「明暦の大火」別名「振袖火事」もあった(1657年)。片想いしながら死んだ麻布の「質屋」の娘の振り袖が「呪われ」ていて、数奇な経緯の末に死者10万余の大火になった。こちらの方がゾワゾワする怖~い話だよ。

ほぼリアル「就老(就活老人)日記」(最終40話)

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(これが人生最後の「試験」かも……)
 交通警備の仕事にも公的資格制度があり、2級に合格すると国道など配置基準道路沿いの仕事などを任される。時給や手当も増額になるので会社からは「早めに取得せよ」と言われていた。が、諸般の都合でこの2月に初受験……試験は学科と実技の2本立て。学科は憲法・刑法・交通法規・警備業法などから20問で3問間違えたらアウト。実技は高速道での誘導ほか、けが人の救護、警察への連絡などの他に、暴漢などの攻撃から自衛する体さばきなどもあって半日がかり。学科はかなり常識も通用するが、実技はふだんやったことのないものばかり……試験までのひと月の間、事前講習を受けたり仕事の合間にシミュレーションしたり、ドキドキだった。何しろ、緊張する試験なんて大学受験と自動車免許くらいしか経験してない……そしてひと月後の昨日(3月10日)「サクラサク」の電報ではなく、「合格しましたよ」と電話で知らされ、ホッとした……仕事の新しいステージに就くことになったが、「これが人生最後の『試験』かも」と思うと、ちょっと複雑な感慨……この「就老」シリーズは、いわば『団塊の世代』の最終章を書くようなものだった。わが世代の生き様がどんな「あがき」になるのか、それを実体験したくて書いてきた。だが、1年以上も一つの仕事をし、さらに続けようとしているのでは「就活」とは言えまい。そこで、次なるチャレンジを始めるまでは、筆を置くことにする。何かの参考になりましたかね……

メシの噺 買いだめより「使い切り」

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 半世紀前のような「買いだめ」騒動が続いているようだが、食品をまとめ買いする気にはなれない。冷蔵庫を前にして「なんとかが足りない」と買うことを考えるよりも「ここにあるモノをどうするか」と使うことを考える方が愉しい。そんな日々の、どうってことない一部を恥ずかしながら公開……●カボチャ:ヒタヒタ水で茹で人参も一緒に潰せばWカロチン・マッシュ。塩コショウとマーガリン(またはマヨネ)だけ。甘味があるからこのままでもOK……●肉みそ:ひき肉を炒め(余分な脂はふき取る)、味噌にしょうが・ニンニク・唐辛子など好きなものを加えたものと和える。レタスに挟んでもうどんや焼きそばにも使えるが、今夜は麻婆豆腐(挽肉なしレトルト)にサラダ菜散らして載せた。とにかく重宝……●ミカン:昨年暮れに大家さんから大量にもらった。食べきれないと見越して冷凍に。輪切り半分にして皮をむき、1個づつラップし、切り口を上にしたパック詰め。3ヵ月後でこの状態……●レモン:ミカン同様に冷凍保存するほかに、砂糖たっぷりの水に輪切りして漬けとく。お湯をそそいでホットレモン、たまにはソーダでレモネード。またリンゴを弁当に持っていく時やジャム作りにも使える……●油:たまに揚げ物を作りたくなるが、独り者には油の始末が億劫で手が出ない。昨日は一念発起して鶏肉、後に鯖を素揚げ。残った油は濾すことにした。ペットボトルの上部3分の1を切ってひっくり返してロートに。コーヒーのドリップ紙を使って少しづつ。時間がかかるけどきれいな油として6割がた回収。玉子焼きなら5回以上使えそう……こういうコセコセ・チマチマしたことが好きなんだねワシ(笑)

寒空の下、そそっかしいヤツが……

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桜のつぼみ

 今日、7日の都心は朝は雨まじりだったし、終日風が冷たかった。でも工事現場前の桜の枝を観たら、ひとつだけつぼみがほころんでいた。古木に数百のつぼみがあるが、たった一つ……そそっかしそうな奴だ(風で揺れて、スマホじゃピントが合わなかった)……「あれ、オレだけ?他の連中も早く顔出せよ」「アホか、こんな寒い日に。もうちょっと寝かせろ」てな具合でつぼみ同士が会話しているみたいだ……東京では、今年は平年より10日くらい早く来週の日曜15日に開花するとの予報が出ている。満開は24日らしい……「桜」というだけで気持ちが落ち着かなくなるのは、やっぱニッポン人なんだなぁ。