h.Tsuchiya

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調べたら愉し04 「♪梅は咲いたか~♪」の噺

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梅は咲いたか

 お座敷あたりで唄われた「梅は~」の続きは、そう「桜はまだかいな♪」。でも自分も含め、ここまでしか知らない人が多いのじゃなかろうか。で漫然と、ちょうど今日この頃の季節をタネにした風流な歌だなぁ~くらいに思っているのでは?……仕事現場前の桜のつぼみが急に色づき始めたのを見て、歌の続きを知りたくなって調べた(仕事中だ。ヤバイな)。そしたら驚いたねぇ、全然風情の違う歌だったよ……「~柳ャなよなよ風次第、山吹や浮気で色ばっかり(しょんがいな)♪」と続く。さらに2番「あさりとれたか蛤ャまだかいな あわび、くよくよ片想い さざえは悋気(りんき)で角(つの)ばっかり(しょんがいな)♪」……これは芸妓さんたちの恋愛事情を並べ立てて、オチに「ショーがねーなぁ」とはやし立てる(しょんがえ節)。で3番の主意は、「舟を急がせて吉原へ繰り出しますよ(しょんがいな)」となる……柳は「風まかせ」、山吹は「実らぬ」(「ミノ一つだに無きぞ」の故事)、貝尽くしは女性のナニですな。あわびは「片思い(重い)」の意味もある、などと芸事・色話のキーワードが一杯入った、なんとも艶っぽい歌だったのである……昔の都家かつえみたいなおばさんがナマで三味線弾いてくれて、お座敷風で熱燗と湯豆腐を出して、この手の唄ばっかりやるようなカラオケ(生オケ)の店があれば愉しいんだろうな。色々、おせえてくれそう……

おすすめ『宇宙船とカヌー』映像版

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ダイソン親子

 2月28日、米国の理論物理学フリーマン・ダイソンが死んだ(96歳)。世間がどれくらい死亡記事を報じたかは分からんが、知らない人が多いから彼の息子(ジョージ・B・ダイソン)にまで触れた記事は、日本では恐らくゼロだろう……自分は彼と息子の話を『宇宙船とカヌー』のちくま文庫版(1988)で読んだ。「父は世界のすべてを数式で表現できるのに、手仕事ときたらクルマの修理すらできない。そんな大人になりたくない」と16歳で家出し、いつしかアラスカ~カナダ沿岸に棲みついて先住民アリュート族のシーカヤックを作る生活を始めた。父は人類の宇宙移住時代が来るとして宇宙船の開発を提唱した。同じ「船」への取り組みだがまるで対照的な親子……推察の通り、60~70年代にかけての世代断絶と新しい生き方を求めるカウンターカルチャーの時代潮流が書かれている。著者ケネス・ブラウワーも訳者芹沢高志も良い仕事をしたと思う……『ガイヤ・シンフォニー』の龍村仁は1986年にフジTVで映像化した。今さら本(写真:ヤマケイ文庫で復刊)を読むのもしんどいだろうから、1時間12分のこちらをおすすめしたい。MP4版がダウンロードできる(YouTubeにもあるが随所で音声が欠ける)……別の道を歩んだ親子だけど、どこかでシンクロしている。カウンターカルチャーというより「オルタナティブ・ライフ」の物語だと解る。https://yahoo.jp/box/UySbEt。ジョージの夢は日本からアリューシャン列島沿いにカヤックで渡ることらしい。

ついに100%!(マスク装着率)

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マスク国民

 毎朝、丸の内線、東西線、都営バスと乗り継いで現場に行く。向かいの席や周囲にマスクをしている人が増えたなと思ったのは2週間前だった。そして先週明け、目の子算で50%になり、今週水曜日くらいには70%になった……「レレレ、こりゃどういうこっちゃぁ!」と思っていたが、今日(金曜日)、ついに3つの路線で100%に到達。全部の人がマスクをしているという異様すぎる光景に出くわした。写真の中刷りに週刊新潮の広告「感染者百万人の脅威」とあるのがなんだか面白い。煽り、煽られだね……自分はマスクはしていない。別に世間に逆らおうとか高みで冷笑したいわけではない。単に苦手なのだ。息苦しいのとヒモで耳が痛くなる……それにしても日本人の「右へ倣え」性格のすごさよ(マスクに限らずなんだけど、その話は省く)……米国で「インフルで1万人死亡」で騒がれたけど、25日の『DIME』ネット版によると、2月8日現在感染者数は2600万人となり、死亡者数は1万4,000人(CDC)だという。でも、これは”平常運転”らしい。2017/18年のシーズンには4500万人が感染し6万1,000人が死亡
というし、2009年の新型ウイルス(H1N1)では、死亡した人は15万1,700~57万5,400人と推定されている(アバウトだな)……それでも「マスク騒動」は起きていない……なんの根拠もないが年寄りの経験だけで言うと、この騒ぎ?は3月半ばには終息するだろう。学校の休みや企業の在宅勤務も明けるだろう。桜の咲く頃、この健忘症の国民は「そんなこともあったよね」と言ってる気がする。

調べたら愉し03 「桃太郎」の噺

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桃太郎

 コロナ騒ぎで「テレワーク」も流行してるが、日本人はこれが苦手という偏見がある。たぶん「キントーン」みたいな優れものGW(グループウェア)を知らないのだろう。これを活用している平均70歳の高齢者企業(温度センサーの開発・販売)を取材したから、自分では評価が高い。開発元サイボウズも面白そうな会社だ……その会社が「桃太郎」モチーフの広告を最近再開し、電車や駅で見かける。サル、キジ、イヌと個性の違う面々も「まとまると強い」というわけだ……で、改めて「桃太郎」を調べたが、あまりに情報が多くてちょっとウンザリ。江戸期の馬琴から明治の国定教科書、これをネタにしたたくさんの文豪や学者たち、現代でもゲーム「電鉄」ものやアニメ「鬼灯の冷徹」やauのCFなど、何度も多様に取り上げられてきた……「青空文庫」だけでも折口信夫の「桃の伝説」を含めて5本はあった。いやはや、とてつもなく寿命の長い人気物語だとわかる……鬼=善人説や桃太郎はグウタラ説、桃を食べて回春した老夫婦の実子説もある。馬琴説では鬼ヶ島は日本の北東(=鬼門)にあり、その裏鬼門(南西)の抑えとして「申、酉、戌」をそろえた、といかにも講釈的で笑える……霊果・桃の件以外には中華文明的影響が少ないのも不思議。そもそもの原典がわからんのだが、上手に商売に繋げたのが岡山・吉備路観光だろう。新幹線駅前の像に特産の桃、「吉備津彦」伝説、土産の「キビ団子」等々、道具だてをずらり揃えている……この童話、どうやら21世紀いっぱいは生き延びそう。

 

調べたら愉し02 「おてもやん」の噺

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 大昔はTVやラジオで盛んに民謡や俗曲を流していたが、最近は盆踊りと「なんちゃらよさこい」で聴くぐらい。子供のくせに唄っていたのが、熊本のお座敷歌おてもやん』……方言や俗語や地元ネタだらけで、意味がわからなかったが、とにかくその浮かれ調子が大好きだった……「おてもやん♪あんたこの頃 嫁人りしたではないかいな♪『嫁人りしたこたぁ したぱってん♪御亭どんの ぐしゃっぺだるけん まあだ盃ぁ せんだった♪ 村役鳶役肝入りどん♪あん人たちのおらすけんで 後はどうなっと きゃあなろたい♪』」(以下略)……これを関東語で意訳した人がいるが、それを短くして紹介しよう。「女中さん あなた最近お嫁にいったんじゃない?『お嫁には行ったけど 亭主が疱瘡のあばた面で まだ式挙げてないのよ 村のお偉いさんが世話好きだから、後のことは何とかなるでしょう』」……モデルは実在の人物で中居の富永チモと、作詞・作曲した三味線と踊りの師匠永田イネ。二人がお座敷帰りに話している情景が浮かぶ(時代は明治)……で、この歌の、いやこの熊本女(肥後・火の国女)の真髄は、「後はどうなっと きゃあなろたい♪」に尽きる。とことん明るく前向き!可愛いのである……熊本市では毎年夏に「おてもやんサンバ」の「総踊り」があるという。くまモンの赤いほっぺは「おてもやんメイク」ね。……あ~書ききれない。おすすめは、熊本国府高校パソコン同好会のサイト「熊本の歌」(http://www.kumamotokokufu-h.ed.jp/kumamoto/shoukai/k_uta_r2.html

調べたら愉し!01 アブラだらけの噺

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あぶらの噺

 トンカツを食べに行くと「ロースかヒレか」と聞かれることがある。自分は断然「ロース派」。でも差しの多い牛肉や鮨のトロやサーモン、エンガワは邪道だと避ける。矛盾しているが豚肉だけは絶対あの脂身が旨いんじゃん!……豚の脂身はラード、牛脂はヘットだが、食の国中国ではどう使い分けるのかと気になって調べた。すると、牛と羊(さらに馬)の脂身は「肥」で豚と鶏は「腯(とつ)」(にくづきに盾)と書いたものがあった。さすが「四つ足で食べない物は机と椅子だけ、二本足で食べない物は両親だけ、空を飛ぶ物で食べないのは飛行機だけ、水中に居る物で食べないのは潜水艦だけ」(広東人への評)と言われるだけあるね……でも実際には脂や肥だけを使ってるようだが、魚の脂についてはまだ分からない。ついでにアブラ関連で調べると、肉の脂を絞ったペースト状のは「膏」。また植物や鉱物から抽出し常温で液体のものは「油」と使い分ける。ま、これは「軟膏」とか「サラダ油」とかで定着しているから無問題ね……で、「脂肪」だが、「脂」は動物性のあぶらとか植物のヤニ成分のこと、「肪」も同じく動物性のあぶらのこと(なぜ同意語ダブル?)。中国語でも「脂肪(チーファン)」「脂」だけなら「肥った」の意味も。その点、英語もfatとかfattyだから近いかな……あ~っ、トンカツ喰いたくなってきた。「東坡肉(とんぽーろ)」もいいなぁ……

爺歌79 4代目が唄う『タイムマシンにおねがい』

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 この曲は、加藤和彦率いるサディスティック・ミカ・バンドが唄った1974年が最初。ボーカルはもちろんミカ。色々あって1989年には桐島かれんが唄い、再々結成して木村カエラで復活させたのが2006年……ま、全部へたくそボーカルで中身も他愛ないチャラ歌のようなんだが、そこは『イムジン河松山猛(雑誌『ブルータス』にも関与)の作詞だから薬味言葉が入っている。憧れの「デューセンバーグ」はギターでなく30年代ハリウッドスター御用達の車、花咲く「ポンパドール」は愛人でもパン屋でもなくヘアスタイルのこと、てな具合……で、3人の女性が唄った『タイムマシン~』を観たのだが、今日は2016年にNHKEテレの番組で唄った斎藤アリーナを見つけた。いやぁ、惚れたねぇ~♥ 実に有能で可愛いアリーナちゃんよりも、この『ムジカ・ピッコリ―ノ』という番組に。2013年から子供向けの音楽&ストーリー番組として続いているらしい(TVも新聞もないから当然だけど)……古今東西ジャンル無視での選曲がワシ好み。子供だけではもったいない、ジジババも観て欲しい……この番組の出演者はもとよりプロデュースや脚本やっている人も、さぞかし愉しいだろうなぁ。少し嫉妬。どうしてこういう仕事に就かなかったんだろう……タイムマシンにお願いしたいな。