h.Tsuchiya

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老人たちの様々な昼下がり

 現場近くに区の地域センターがあり、色々な活動に使われている。ワシも休憩に利用させてもらっている。午後休みにロビーにいると琉球三線と女性のゆったりした唸り声の様なものが聴こえてきた。隣の部屋では爺さんたちが将棋か碁を指している。体育室の予定欄には卓球グループの予約が入っていた。前話でふれた図書室もここにあり、そこそこに混んでいた。ほぼジジババだが……
 現場に戻ると、新聞配達のバイクが行き過ぎた。「まだ夕刊を読む人がいるんだァ」。それを早々に読み終えたのか、向かいの主人(70代?)が、水槽を持ち出して玄関近くの日向に置いた。聞けば「メダカの卵が孵ったので日光浴」とか。見ればミジンコみたいなのがウジャっといる。「カネになるブリーダーか?」と邪推した。この人、日中はクラブ数本持ってゴルフの打ちっぱなしに行くことが多い。
 同じ歳ながら、此方は立ちっぱなしの棒振り稼業。彼方は優雅な趣味三昧……別に羨ましくはない。元気に働けていることがうれしいくらいだ。むしろ想うことは、今の視界にはない、凄絶無惨な情況に置かれているとか、あるいは病床で苦悶している同輩たちも少なくなかろうと想う。誰かを泣かしたり、誰かにイキリたっているような救われぬ昼下がりを過ごしているものもいるはずだ……世間は「ネガ」と「ポジ」が対になって一つになっていると思うから。ワシ、悟ったかな(笑)