h.Tsuchiya

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「人間(じんかん)地図」の更新

 スマホのアドレスを整理していて誤発信することが続いた。でもそのお陰で無沙汰していた友人の消息が聞けた。一人はガンと闘病中だった。もう一人も母上が重篤な状態で入院していた。よく知る方だけに心配だ……人間は自分に関与するいろんな人の情報で頭の中に「人間(この場合は「じんかん」)地図」のようなものを作り、それを常に更新している。そして人間関係の親疎に反映される。
 自分の過去1ヵ月では上記の他にも、入院中に世話になった看護師さんに娘が生まれた/甥が40代半ばで初の転勤(子供部屋おじさん卒業!)/叔母が熱中症から心筋梗塞を起こして死去……等々があった。連絡していないだけで知らない変化はもっとあるだろう。アップデートされるには時間がかかる。
 「地図」という比喩は好まれる。古い例だが、中上健次の小説で映画化もされた『19歳の地図』。浪人で新聞配達の少年が配達区域の地図に、腹立たしい思いをした家を印していく。そしてやがて……映画では寮の先輩役・蟹江敬三が怪演していた。この小説に触発された音楽プロデューサーが尾崎豊に作らせたのがデビューLP『十七歳の地図』。歌詞に「♪街角では少女が自分を売りながら あぶく銭のために何でもやってるけど♪」と、トーヨコみたいな描写もある。安部公房の小説『燃え尽きた地図』は蒸発者を探す探偵が自分を見失って行く話で、映画では勝新太郎が探偵役だった。よく覚えていないほど古い(笑)……「地図」ものはまだまだ多い。恩田陸『失われた地図』も読んでみたい、地図は頭の観念を図像に置き換えた一表現だが、「文字よりも古いコミュニケーション手段」だそうだ(wiki