h.Tsuchiya

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「橋の銘板」にある「きまり」



 今の現場は昔からある集落で、町境には小さいながらも1級河川が流れ、そこに築60年以上のコンクリート橋がかかっている。場所が簡単に特定されるとまずいから、川の名前は省略するが、橋のたもと(図の親柱①)にある銘板には「小源治橋」とある。きっと男兄弟で末っ子だった「源治」の家が橋の傍にあったのだろう、いや背が低かったのかな。でも何かの職人で、集落の名物男だったに違いない。いや橋を作る際の献身。献金を顕彰してかも……なんて想像しながら渡る。これは橋の入り口側から渡ったことになる。
 橋の反対(出口側)の親柱③にはひらがなで「こげんじはし」と彫ってある。「ばし」と濁っていないところに注目して欲しい。読む分には濁っても良いのだが、銘板にするときには/「川がにごらぬように」と縁起をかついで濁音にしないのが昔からの「きまり」だ。親柱の②と④には、普通は川の名前が来る。そしてこれも漢字とかなの交互だ。最近は竣工の記録版をはっているところもあるが、ここは古い流儀のままだ。
 先に書いた「橋の入り口、出口」の違いだが、昔は「日本の起点=日本橋」に近い方が入り口だったが、近代になって、役場や集落の中心地がある方向が「起点側=入り口」になる。
 たかが橋の銘板。たまに盗難被害にあってニュースになるぐらいだが、ちゃんと昔からの「きまり」があるからあらためて見て欲しい。この橋みたいに築60年っていうのは、そろそろ寿命かなと思うけど、「小源治」さんよ、なんとか頑張って欲しいなぁ。