h.Tsuchiya

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秋草と外来種

 ススキや桔梗、萩など秋の草花をあしらった「秋草」の図柄は、枯れゆく淋しさや侘びた風情があり、日本の伝統的な意匠だ。だがもう消えるかもしれない。
 昨日から現場近くで見るのは、妙に自己主張の強い、名前も馴染みの薄い外来種の「秋草」だ。写真中央の4枚=①ランタナ、②カリアンドラ、③アベリア、④エンジェルトランペット。そして街路樹に多用されるようになったハナミズキ一青窈の歌で好感度アップしたが、英名はdogwood(一説では実や枝の煮汁が犬の皮膚病に効いたから)。春咲く花は桜に似て可愛いが、秋になって葉の枯れ方が汚い。一気に枯葉色になりチリチリと道路に散らかる。

 見た目が派手とか珍しいで安直に栽培し、挙句に街路樹や公園の植栽に放置して繁茂させているヤカラは誰だ?美意識も環境配慮もトホホだぜ。
 しかもこれは最近のことじゃなくて、ずぅっとそうだった。魚も虫も外来種だらけ……とはいうものの、日本の動植物は遡れば多くが外来種なのだから今さら愚痴るまい。セイタカアワダチソウだって今や秋の季語だもん。
 「外来種問題」が人間となると厄介だ。集団で騒いだり、ヤクザと刃傷沙汰を起こしたり、ゴミ捨てルールを無視したり…と「在来種」と軋轢を生みやすい。様々な事情でラジカルに外来するから摩擦が起きる。もっとモデレートなペースならば……いや、そんなことはありえないか。事態はいつも急激で、日本という老熟し過ぎた皮袋に新しい酒は強烈過ぎるのだ。わずかに期待するのは、日本文化が持っている、異質なものを変容させ消化吸収してしまう能力の高さだ。長いなが~いスパンでは「外来」でなくなるかも(笑)